道玄斎さんのコラム 15:道玄斎のノベルゲーム漫遊記



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●第十五回「ノベルゲームを整理しよう」

今回から、この連載コラムの名前が変わるんだ。
「道玄斎のノベルゲーム漫遊記」という名前になっているはずだよ。
というのも、無料ゲーム.comさんと、


「道玄斎さん! 原稿をアップして気づいたんですけど、コラムのタイトルに、ゲームの『ゲ』の字も入ってないじゃないですか! これはマズイですよ!」

「た、確かに……。困ったなぁ……あっ、じゃあ、連載のタイトルを変えちゃうってのはどうかな?」

「というと?」

「うん、このコラムも第11回目から、少しライトなテイストになってるから、その11回目から、タイトルを変えるんだ。『道玄斎のノベルゲーム漫遊記』なんてどうかな?」

「あっ、いいですねー。じゃあ、そうしておきますね」


こんなやり取りがあったんだよ。
これなら、タイトルで「ノベルゲーム関係の話をする」っていうのが分かってもらえるよね。




■ここで初心にかえる

というわけで、一応、タイトルをすげ替えて、新装開店と相成ったわけだけども、ここらへんで、「ノベルゲーム」の基本的な問題をあらためて考えてみようかな、って思ってるんだ。

つまり、「ノベルゲームって何なのよ?」という問題だよ。
少し大風呂敷を広げた感はあるけど、まずは考えてみようよ。




■ノベルゲームの三要素

ノベルゲーム……
スタイルの違いによって「ビジュアルノベル」とか「サウンドノベル」とか呼ばれたりすることもあるんだけど、基本的にはあまり変わりがないんだ。

どういう呼び名であれ、共通している要素っていうのはあるんだよ。
だいたい、


  ・文章を主体としている

  ・背景や人物イラストがつく

  ・BGMや効果音がつく


うんと大きくわければ、この三つの要素に分けられるんじゃないかな。
「文章」「ビジュアル」「音関係」ということだよ。

このなかで、なんといっても優先順位が高いのは「文章」だろうね。
文章がなければ、ストーリーがつむげないんだ。ノベルゲーム、ビジュアルノベル……どういう呼びかたでもいいんだけど、この「文章」は最優先事項だよ。むしろ、ビジュアルも音も、この「文章」を引き立たせるためにある! って言い切ってもいいくらいだよ。

一方で、ビジュアル面に関しては、作品によって振れ幅があるんだ。
というのも、「背景写真」だけを表示するゲームもあれば、見目麗しい立ち絵、一枚絵(スチルとも)を備えた作品もある。最近では、同人、それもフリーのノベルゲームでも、「OPムービー」がついている作品が増えているんだ。このムービーというのも「ビジュアル面」だよね。

BGMや効果音というのも、外せない要素だよ。
だって、「サウンドノベル」なんていいかたをしたとき、名は体を表すじゃないけど、「サウンド」という言葉がもろに入ってるじゃないか。サウンドによって、文章の効果を最大限に活かしたり、場面の雰囲気づくりや、プレイヤーを驚かせたり、といったことが可能になる。さっき「ムービーもビジュアル面」といったけど、当然そこには歌などの音楽が流れているんだから、「音」の要素もあるんだ。

うーん、どれもこれも大切な要素だなぁ。
フリーのノベルゲームなんかだと、まれにBGMなどが一切ない作品があったりするんだけども、やっぱりそれは寂しいよね。これも考えかたなんだけど、ずっと無音でゲームが続き……例えば感動のエンディングで初めて、音が流れ出す、なんて演出のしかたもあるぞ。どうも、「音関係」は使いかたに少し、工夫が必要な要素のようだね。

今あげた三つがノベルゲームの基本的な要素だよ。
その作品で(あるいは、ある場面で)「何を見せたいか」によって、それぞれの要素への力の入れ具合は変わってくるんだけどもね。

そうだなぁ、例えば、画面の下のほうに、「メッセージウインドウ」があって、基本なにかしらの立ち絵が表示されている作品があるとしようか。まぁ、非常によく目にするタイプのものだけどもね。

この場合、基本的に文章は、その「メッセージウインドウ」に表示されるんだけど、主人公の独白がしばらく続くってときに、一行32字三行書きの「メッセージウインドウ」で、それをやっちゃうと、なんか不自然なんだ。その時は、「文章」に比重がおかれることになるわけだから、画面の方式を、「メッセージウインドウ型」から、「全画面型」に切り替えたりする人もいるんだ。

シーンによっては、BGMを流さず「無音」にする、というのも同じことだよ。




■ノベルゲームの色んな分けかた

ゲームの要素としては、今いったとおりなんだけど、同じ要素がありながらも、ノベルゲームそのものを分けて考える人も多いんだ。「選択肢アリ」のゲームなのか、「選択肢ナシ」のゲームなのかってね。けど、これもややこしいことに、「選択肢がないものはNVL」、「選択肢があればADV」というように、厳密に分けたがる人もいる。

あるいは、主人公の性別で分ける、という方法もあるんだ。
「男性主人公」であれば、それは普通のノベルゲーム、「女性主人公」(で、なおかつ、恋仲になるのが男性の場合)ならば、「女性向け」もしくは「乙女ゲーム」なんて呼ばれることもあるよ。

私自身としては、「文章を主体としたゲーム」をとりあえず、大きなくくりで「ノベルゲーム」や「サウンドノベル」と呼んでいて、それはそれでいいと思ってるんだ。だって、そういう言葉にあれこれこだわるよりも、やっぱり内容それ自体のほうが重要だと思っているからね。まぁ、便利だから「女性向け」なんて言葉を使うときも多いんだけど。

ともあれ、こういうノベルゲームの分け方に、その作者さんのゲームに対する思想が出ていたりして、色々と見比べてみると面白いよ。




■ゲーム? それとも?

「ちょっとちょっと! 道玄斎さん!」

「なんだい?」

「さっきから聞いてれば、ゲームって言葉、ちょっと無節操に使ってません?」

「もしや、何度も俺が『不毛だから語らない』っていってたことを蒸し返そうってんじゃあるまいな?」

「そうですよ! せっかくノベルゲームの基本の話をしているんだから、避けて通れないと思いますよ、ノベルゲームははたしてゲームなのか? って問題はね」


そうなんだ。
これは古くからある論点なんだけど、「ノベルゲームはゲームなのか?」という問題は、ずっと議論されてきているんだよ。私は今までのコラムでも、「不毛だから突っ込まない」って何度も宣言してるんだけどもなぁ。ま、せっかくの機会だから、いけるとこまでいってみよう!

問題は「結局読むだけじゃん!」というところにあるんだろうね。
つまり、そこに「ゲーム性」があるかないか、って部分だと思うんだけど、ゲーム性ってものそれ自体を定義するのも、そうとう難しいぞ……。


「でも、さっき書いてたじゃないですか。『ノベルゲームには選択肢があるものと、そうでないものがある』って」

「うん、その『選択肢の有無』で、ゲームかそうでないかを分けて考える人がいるよね」

「僕も選択肢があれば、なんとなくゲームっぽいな、って気がするんですよね」

「なんとなくの実感としてはそうだよな。ただ、それでも選択肢による分岐はたしかにあるけど、結局やることといえば、クリックで文章を読んでいくだけなんだ」

「うーむ……たしかに……」


ね?
結構すぐに袋小路に入り込んじゃうでしょ?

けど、「あっ、これはゲームっぽいなぁ」と思えるような作品も細々と存在するのも事実なんだ。たとえば、 『風雲相討学園フラット』 という作品は、「たたみかけモード」というものがついているんだ。これはどういうものかというと、女の子を口説く時にこのモードに移行するんだけど、要するに、選択肢が連続で出てきて、その選び方によって「好感度」が大幅に変動するんだよ。選択肢の一歩進んだ使い方、という感じかな。

女性向けでも、 『出ない部屋から弟が!』『ジンセイ兄イロ』 は、やはり同じようなテイストの作品なんだ。こちらは、選択肢をうまくさばかないと即バッドエンドになってしまうんだけどもね。

『風雲相討学園フラット』も『出ない部屋から弟が!』も、作中で「選択肢モード」ともいうべき、モードの転換があって、そこに「ゲームっぽさ」が現れているとみることが出来るんだ。
ただ、『風雲相討学園フラット』のほうは、ストーリーの合間に、「選択肢モード」が挿入されていて、逆に『出ない部屋から弟が!』のほうは、「選択肢モード」の合間にストーリーが語られる、という印象の違いはあるね。


「うーん、やっぱり『選択肢』とゲーム性というのは結びついているような気がするなぁ」

「まぁ、一番分かりやすいからね。ただ、選択肢をもった作品が全部が全部『ゲーム性』を目指しているわけじゃないとも思うんだ」


「ノベルゲーム」というワクで考えてしまうと、かえって分かりにくくなるような気がするから、別のものに置き換えて考えてみようか。

例えば、音楽を作っていたとしよう。ある旋律を「シンセ」で鳴らすか、それとも「バイオリン」で鳴らすか悩んだ結果、両方試してみた。結果、どっちも甲乙付けがたいほど、いい音楽になった。その場合、「シンセバージョン」と「バイオリンバージョン」の二つをリリースするんじゃないかな? つまりアレンジ違いの複数のバージョンが生まれるんだ。

それと同じようなことが、ノベルゲーム制作でもあるんじゃないかな。
つまり、ある物語を作っているときに、ベストエンド以外にも「あっ、こういう結末もいいな」と思えるものを思いついたら、エンドが分岐するようにすればいいよね。

そこに「ゲーム性を高めよう!」という意志はあまりないんだ。
ただ、ストーリーのアレンジによって、複数の物語が生まれ、それを分岐という形でしめした、ということだと思うんだよ。もちろん、「ヒロインが複数いる」のが前提の作品なら、その段階で、分岐が決定して るんだけどもね。


「まぁ、俺としては、あまり難しいことを考えず、ノベルゲームはそういう形のゲームってことでいいじゃん? って思ってるんだ」

「いちおう、『ゲームだとみなす派』なんですね」

「正直どっちでもいいんだけど、しいて言うならそうだなぁ」

「誰もが納得できるような、分けかたって難しいですもんね」

「まさにそこだよね。けど、俺がノベルゲームはゲーム、っていうのも、全く根拠がないわけじゃないんだ」

「え? 根拠があるんですか?」

「うん、昔さ 『ゲームブック』 ってのが流行った時期があるんだよ」

「道玄斎さんの昔ってことは、大正時代かな……」

「昭和だよ! まぁ、とにかくさ、ゲームブックって、分岐ありのノベルゲームに凄い似てて、これはもう、先祖っていってもいいんじゃないかな? で、『ゲーム』ブックなんだよ?」

「僕はノベルゲームの先祖っていうと、『弟切草』とか『かまいたちの夜』だと思ってましたよ」


もちろん、それが直接的な先祖ってヤツだろうね。
けど、私は、なんとなく本当の意味での元祖はゲームブックな気がするんだ。

『弟切草』や『かまいたちの夜』では、やっぱり選択肢があって、それによって物語が分岐していく形式だけど、それも成熟するにしたがって、『文章を読ませる媒体』としての独立性も出てくるんだ。結果として、「選択肢なし」で物語を読ませることに特化した「ノベル」が出てくる。それはいわば子孫だよね。

そう考えると、結構スッキリしないかい? 選択肢なしのノベルゲームも、ゲームブックから始まる「ゲーム家の血筋」なんだよ。だから、私は「ノベルゲームもゲームでいいじゃん」って思ってるんだ。


「今まで、そんなこと、道玄斎さんの口から聞いたことないなぁ。意外といろいろ考えてるんですね……少しだけ見直しました!」

「ああ……うん、ありがとう……」

「あれ? せっかく褒めてるのに、反応悪いなぁ!」

「あー……今の話、さ。本当に今思いついたからいってみただけなんだよ……」

「…………」


こういうノベルゲームの認識は、あくまで「私の」認識なんだ。
だから、異論や反論だって当然あるだろうね。けど、どんな立場でもそれなりに理屈はつけられちゃうような問題だから、答えはないんだ。むしろ、答えを求めるんじゃなくて、そこは各人の考えを大事にして欲しいな。

(つづく)


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