道玄斎さんのコラム 47:道玄斎のノベルゲーム漫遊記
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●第四十七回「こんなトラブルも……」
さてさて、ここ何回かトラブルの話を書いてみたんだけど、予想以上に反響がきたんだ。
「こういうトラブルもあるぞ!」だったり、「こういう話も取り上げてくれ!」ってものだったり、結構個人的に連絡をいただいてしまったんだ。
少し軽めの笑える話……にしたかったんだけど、今日もちょっと重たい話になっちゃうのかなぁ……?
■女性創作界隈の問題
自分自身も書こうと思っていて、なおかつ連絡をもらったものに「女性向け創作で起こるトラブル」というものがあるんだ。
今日はそれを書いてみようかな。
ノベルゲームっていうのは、一応シナリオを書いて、絵を描いて、音楽や交換をつけて、スクリプトを組んでという、結構複雑な作業を要求されるんだ。
もちろん、絵や音関係は外注する、なんてこともあるし、そうすればかなり楽になるのも事実なんだよ。
けど、「シナリオ」くらいは自分で書かないといけない、ってのはわかるよね。
シナリオを丸投げしておいて、「自作品です!」とはいいにくいもの。
だから、すでにノベルゲームの形にして作品を発表している人っていうのは、これは大したものなんだよ。少なくとも、自分で物語を考えて、それを執筆しているんだからね。
最近、私が女性作者さんの作品に勢いを感じている、というのは何度も書いた通り。
そして、女性作者さんも何人か集まることもあって、例のコラボ制作とかに発展することもあるんだ。
また、「創作者」同士がコラボではないけれども、つながり合って「創作交流」をするというのも、とても一般的なんだよ。
そういう、「女性作者」が集まる場で、問題の多くは起きているようなんだ。
私が見たり聞いたりしたもの、あるいは教えてもらったものを書き出してみようか。
・キャラクターに「敬称」は必須
・「創作語り」に反応しないと、あからさまな冷遇
・他の創作者への過剰なディス
・仲がよいように見えて、実はドロドロの人間関係
まぁ、こんなとこが代表的なものかな。
このうちのいくつかが混じった、実話を紹介してみようかな。
■実話なんだぜ?
女性同士の創作交流の場があったんだよ。
四人くらいで、わいわいツイッターで自分たちの創作について語り合っていたんだけど、そこに、新しい女性が入ってきたんだ。
確か「一次創作している人とつながりたい」みたいなタグを経由してやってきたんだけどもね。
「どうもいらっしゃい〜! 仲良くしましょう〜!」
「ありがとうございます! 私もイラストを描いたり乙女ゲームを作ったりしているので、みなさんと創作の話をしたいです!」
「みんな創作してるからねー。私はオリジナルファンタジーを書いてるよ」
「私は和風BL」
「私は……もうなんでもあり! 今三作品くらい書いてる!」
「うわー、すごいですね!」
なんて、最初はなごやかだったんだよね。
さぁ、問題はここからだ!
「ところで、私の創作『ブリーシンガメン』のどのキャラが好き!?」
「はい! オーディンがカッコいいと思いました!」
「あぁん!?」
「あー……やっちゃったね……」
「それ、よくない!」
「えっ……!?」
なんと、「オーディン」というキャラクターに対し、「オーディン」と呼び捨てにした点が不興をかったんだ!
「うちの子には、ちゃんと『さん』とかちゃんと敬称つけてよ!」
「そーそー、それ常識」
「当たり前のことだよ?」
「常識なさすぎ」
「す、すみません……」
こんなやり取りがあったんだけど、どう思う?
そもそも『ブリーシンガメン』でオーディンが出てくるって、そりゃ北欧神話じゃないか。いくら「うちの子」っていっても、それはやっぱり北欧神話の主神オーディンなんじゃないかねぇ……。そこに敬称をつける、ってむしろそっちのほうが違和感あるなぁ。
ともあれ、こういうことがあって雰囲気が悪くなるかと思いきや、「敬称の問題」はサラリと流れて、また平然と会話に戻ってしまったんだ。
「まぁいいよ、今度から気をつけてね。で、オーディンのどんなところがよかった?」
「えっと、やっぱり渋いですよね。ダークカラーの衣装とか。グングニルのヤリも緻密に描いてあってすごいカッコよかったです!」
「お、わかってるねぇ! ほかには?」
「あと、肩にとまってるカラスがすごい可愛かったです!」
「いいねいいねぇ。ほかにはほかには?」
と、今度は、ポリアンナの「いいこと探し」も顔負けの、「いいとこ探して」が始まってしまったんだ。
けど、問題は、その『ブリーシンガメン』なる創作は、「イラスト」と数行の設定文しかないってことなんだよねぇ……。そりゃ、いいとこ探してあげたいけど、それだけじゃ限界がある!
まぁ、なんとか、アレを挙げてコレを挙げて、とその場をしのいだけど、その新人さんは、ものすごい精神的疲労感を感じてしまったんだ。
そして次の日、ツイッターに『ブリーシンガメン』作者のツイートが掲載された。
「#うちの子のどこが好きですか?」なんてハッシュタグだけのツイートだよ。
昨日、さんざん話したから新人さんは、敢えて反応しなかったんだよ。
だって、昨日本人に話したわけでしょ? それと同じものをまたツイッターでやるっていうのも、なんかわざとらしい気もするし、不自然だし。
けど、それがまずかったんだ。
「なんで反応がないの……。昨日いってたことは嘘だったのか……」
なーんて、いわれちゃったんだな。
その後も、同じようなことがたびたびあって、新人さんはルールを学んだんだよ。
そのルールっていうのは、
・相手の創作語りには絶対に付き合うこと
・何度でも、相手のキャラや創作をほめること
なんだよね。
そういう感想(?)って、義務じゃないんだけどなぁ……。
ともあれ、新人さんもそういうルールを学んで、それを極力守りながら、彼女たちと交流を続けていったんだ。
もちろん、悪いことばかりじゃなくてね。
自分がイラストを描いてアップすれば、その反応は即座に返ってくるし、毎回ほめてもらえるんだ。
問題は他にもあってね、そのグループと、つかず離れずみたいな距離で交流している絵描きさんがいたんだけど、その人がなんと商業誌にちょっとばかりカットを描いたりすることが決まったときのことだったんだ。
「なんであんなヤツが!」
「あの人ハンコ絵だよね……」
「黒髪、なんていってるけど、灰色混じってるし!」
「そーそー! 前も銀髪っていってたけど、紫混じってたよ!」
「創作なめてるねー」
なんて、ディス大会に突入。
おっと、これはツイッター上じゃなくて、その裏側で開催されているスカイプのチャットでのことなんだけどもね。
けど……「銀髪っていうけど、紫も混じってた」の発言をした人も……その絵描きさんの真似して、「銀髪の髪の毛に紫色を混ぜてた」んだ!
■脱退のきっかけ
新人さんも、グループから距離を置くことも出来ずにいたんだけど、ある事件がきっかけになって、ツイッターをやめてしまったんだ。
最初に書いた通り、新人さんはノベルゲームを作ってたんだよ。
で、最近出した新作が好評で、ツイッターでも多くの人から感想をもらったり、ファンアートが送られてきたりしたんだ。
当然、グループの面々はそれを面白く思うわけがない!
さっそく、チャットルームで新人さんへの糾弾会(!)が始まってしまった。
「感想もらえていいですね!」
「ファンアートももらってたねー?」
「いや、それはゲームだから……」
「え? なに? 私たちの創作は『創作じゃない』とでもいうつもり?」
「そういえば、あなた最近、私たちの創作に感想くれないよね?」
「天狗になってるのかなー? 絵や設定を作るのだって立派な創作なんだよ? ゲームだけが創作じゃないってわかってる?」
なんて調子でね。
いや、まぁ、「ゲーム」って形にしてあれば、そりゃ感想もいいやすいよ。
人の目に触れる機会も多くなるし、キャラクターに対しての言及も単純なビジュアルだけじゃなくて、「あの場面での活躍がよかった!」とかいえるもの。
ゲームじゃなくてもいい、っていうのはあるけどね。
そう、ゲームじゃなくても小説にする、マンガにする、なんてもっと具体的な「形」にしたほうが、感想だってもらいやすいに決まってるんだ。
イラストを描いたり、設定を作ったりっていうのも創作なんだけど、感想をもらいたいのであれば、やっぱりもう一歩踏み込んだ活動をしたほうがいいってのはわかるよね。
ともあれ、新人さんはゲームを取り下げ、ツイッターも予告なしに削除してしまったんだ。
もう、ツイッターを削除する、スカイプのアカウントを消すくらいしか、彼女たちと縁を切る方法が見つからなかったからなんだよ。
■ここらで一度
……というお話しなんだ。
これは、もちろん個人を特定できないようにしてはいるけれども、実話なんだよ。
こういう人たちが、創作をしている人の全てだ、っていいたいわけじゃないよ?(って書いておかないと、わざと曲解する人がいるからね……)
けど、ちょっと女性向け、あるいは女性創作者の界隈(特にグループになると)っていうのは、こういう暗い部分もあるってのも、また事実なんだ。
独自のルートや、不文律、過度のほめ合いが求められたりと、窮屈な部分を私は感じてしまうんだけど、どうかな。
うーん……今回は明るい話にするつもりだったんだけど、やっぱりずっしり重たくなってしまったなぁ。 さすがにそろそろトラブルの話は一度おしまいにしよう!
今度こそ、明るく楽しい話、書ければいいな!
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(つづく)
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