道玄斎さんのコラム 25:道玄斎のノベルゲーム漫遊記



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●第二十五回「文章表現を考える」

 さて、今回はちょっと「文章表現」について考えてみようかな、って思っているんだ。
 というのも、最近、Twitterで流れてきたツイートで、気になる……というかかすかに違和感を感じてしまったものがあるんだよね。
 まずは、それを切り口にしてみよう!




■漢字をひらいていいですか?

 私がTwitterで気になったのは、こういうツイートなんだ。


   “素人さんは、文章を書くときに漢字を多用する。
   それだと見にくいから、こういう漢字はひらがなに変えてやるといいよ!”


 というやつで、「ひらがなにしたほうがいい漢字リスト」も画像にしてくっついていたっけ。
 このツイートはたくさんリツイートされていたから、みんなも見たことあるんじゃないかな?

 これは、俗に「漢字をひらく」って言われる技術だよ。
 つまり、「なるべく漢字を減らして、読みやすい文章にする」ってこと。これはノベルゲームのシナリオ界隈でも言われているよね。

 かく言う私も、このコラムでは「漢字のひらき率」を大幅に上げているんだ。
 自分のブログは完全に自己満足だから、けっこうヘンテコな漢字とかを多用しちゃうんだけど、ここはよそ様のスペースだから、ちょっとだけ自重してるってわけ。

 で、問題は、どこが気になったのか、というところなんだけどもねぇ、説明がむずかしいなぁ。まぁ、簡単に言ってしまえば「ひらがなの多用って、文章表現のレベルを落としちゃうんじゃないの?」ってことなんだ。

 漢字っていうのは、表意文字でしょ? だから、字そのものにイメージが宿ってるんだよね。だから、それを切り捨てる方向にもっていっちゃうと、なんか豊かな言語空間っていうのがなくなっていくんじゃないのかなぁ。


「ちょっとちょっと! いきなり表意文字とか言わないでくださいよ!」


 と、割り込んできたのはK君。
 彼は理系だから、そこらへんの事情に明るくないんだ。


「表音文字とか表意文字っていうのは、中学生くらいで習うんじゃないの?」

「そんなのとっくに忘れてますって! とにかく、詳しい説明を聞いてあげましょう」

「なんで、君はいつもえらそうなんだ? まぁ、いいや。つまりさ、表音文字っていうのは『音』を表す文字なんだよ。で、表意文字っていうのは『意味』を表す文字なんだ」


 代表的な表音文字は、私たちも日常的に使うアルファベットだよ。
 たとえば、Aという文字があっても、なにかを表してるわけじゃないよね? ただ、Aが出てきたら「あ」とか「えい」とか読むっていう音を表してるだけなんだ。

 一方で、表意文字は文字そのものに意味があるんだよ。
 たとえば、漢字で「馬」って書いたら、みんな牧場とか、競馬とかで活躍する「ウマ」を思い浮かべるんだ。

 今の例だと、「ウマ」を意味する文字を書こうとしたとき、表意文字の漢字なら「馬」って書いてしまえばそれでおしまいなんだけど、表音文字のアルファベットだと「horse」って書かないと、「ウマ」の意味を持った言葉(単語)にならないってこと。


「なるほどなるほど。なかなかの説明ですね」

「そいつぁどうも」

「で、それのなにが問題なんです?」

「んもー! なにを聞いてたんだよ。これってけっこう大問題だぞ。つまりさ、表意文字の漢字っていうのは、その存在だけで意味が生まれちゃうわけだろ? だから漢字を使うことで、文章にいろんな意味やニュアンスが出てくるんだよ」

「ふーん……そんなもんですかねぇ」


 まったくもう、想像力がないって困るよ。
 簡単に説明するとさ、漢字には「漢字それ自体が持つ力」があるってことなんだ。それがある文章において、雰囲気やニュアンスを出したりするんだよ。

 たとえば、


  「女なんて、いやだよ」

 ってな文があったとしよう。
 漢字を使えば、


  「女なんて、嫌だよ」


 と書けるよね。
 けど、そこで、


  「女なんて、厭だよ」


 と書いたなら……この発言をした人が、女をとても気持ちの悪いものだと思っていて、「あっ、こいつ過去に女がらみでなんかあったんだな……」って読者に思わせることにまで成功するじゃないか。

 ちょっとあまり普段は使わないような漢字を使って、反則気味ではあるんだけど、言わんとしていることがわかってもらえたんじゃないかな?


「たしかに、ずいぶん印象が変わりますねぇ」

「だろ? 漢字の選びかた、使いかた次第でイメージってすごく変わるんだ」


 そういえば、中二病の人ってやたら凝った漢字を使いたがるじゃない? HNを「黒蝕」にしたりとかさ。
 この「蝕」の字は、簡単に「食」とも書けるんだよね。だって「日蝕」でも「日食」でもいいんだもの。けど、「黒食」にしてごらんよ。なんかゴマでも食べてるのか? ってなっちゃうじゃないか。


「そ、それはダサい……!」

「常用漢字とか、そういう問題とも関わってくるからむずかしいんだけど、漢字の使いかた一つで文章のイメージが変わるんだ。だから、漢字をひらく、っていうのは、読みやすさと引き替えにしているものがあるよな、って思ってるんだよ」




■隠れた意味をあばきだせ!

 と、まぁ、こんなことを考えて、「漢字をひらく」っていうのもよしあしだよなぁ、って思ったってことなんだけど、まだまだ、文章表現をめぐっては問題があるんだ。

 最近では、漢字が苦手だったり、慣用句を知らなかったり、あるいは、言葉の裏に隠されている意味がわからなかったり、って人が増えているらしいんだよね。


「まーた、そうやって若者差別をする! 道玄斎さんが生まれた大正時代と今とでは時代が全然ちがいますよ!」

「そのネタ、前にやってるぞ……」

「え? なんのことです? あれ? 明治生まれでしたっけ?」

「ほんとこいつ、厭だわ……」


 っと、話を先に進めよう。
 ちょっと前のことなんだけどもね、ある歌の歌詞に、「吉良の仁吉は男じゃないか」というものがあったんだけど、「なに当たり前のこと言ってんだ?」って顔をしてたヤツがいたんだよ。

 そいつは、「仁吉なんて名前の女はいないでしょ。だから仁吉は男。そんなことわかりきってますよ!」って言ってたんだけど、そうじゃないよねぇ。
 前後の文脈っていうものもあるけど、こういう表現の場合、「吉良の仁吉っぁんってのは男のなかの男だよな!」ってことだよね。

 なにが言いたいのかってーと、この「吉良の仁吉」の文章の場合、表の意味(=仁吉は男である)と、裏の意味(=仁吉は男のなかの男!)の二種類があって、裏の意味のほうを読まないとちんぷんかんぷんになってしまう、ってことなんだ。


「あっ、そういうの聞いたことあるな……。コノテーションでしたっけ?」

「あれ? よく知ってるなぁ。うん、そういう裏の意味をコノテーション、表の意味のほうをデノテーション、って呼ぶんだよ」

「昔、一般教養でとった言語学の授業が役に立った!」

「まぁ、問題はこういうコノテーションを使った文章だと理解できないってユーザーが増えているってことなんだ」

「ふむふむ」

「ユーザー側の問題だけじゃなくて、作り手の側も最近は『二重否定』を使わなくなっているとか、表現の方面で色々な変化があるんだよね」

「二重否定っていうと、『遊びたくないわけじゃない』みたいなヤツでしたっけ?」

「そうそう、二重否定を使うことによって、微妙な心情っていうのが出せるよね」

「たしかに、積極的に遊びたい! ってわけじゃないけど、まぁ、遊んでもいいかな、くらいの意味になるのかな……」

「あるいは、遊びたい気持ちはあるけど、事情があって遊べない、みたいな雰囲気も出てくるよね。この二重否定によって、そういう微妙なニュアンスを出せるってとこが重要なんだ」




■冒頭の疑問に戻る

 結局、問題は共通している気がするんだよね。

 「漢字をひらこう」っていうのは、わかりやすさのために、字そのものに意味やニュアンスを持つ漢字を排除していく、という側面もあるし、「コノテーション」や「二重否定」だって、わからない人、わかりにくい人がいるから、使われなくなってきている。

 で、冒頭の疑問に戻るんだけども、そうした表現の排除に「読者をバカにしている」部分を感じたり、言葉は悪いんだけど「表現を低いほうに合わせる」ような気がして、そこが気になったんだ。

 ノベルゲームっていうのは、ノベル部分、つまり文章表現に大きな比重があるんだ。
 それなのに「わかりやすさ」のために、表現を犠牲にするっていうのもおかしな話じゃないかい?


「うーん、道玄斎さんもけっこう色々考えてるんだなぁ」

「まあね。Twitterの人も、おそらく善意で『こうすると読みやすいよ!』って言ってくれてると思うし、むやみやたらに漢字変換するのをいさめてるとも思うんだ。そういう意味では俺も賛成なんだけど、『漢字をひらがなに!』みという話がドンドン拡大されていくと、やっぱり表現の可能性が失われていくような気がしているんだ」

「いつもはブログで変な漢字ばっかり使ってる道玄斎さんなのに、今日はやたら真面目な話をしますね……」

「あぁ……うん……まぁ……」

「ん? どうしたんです?」

「いやね……実は、『変な漢字ばっかり自己満足で使って読みにくいんだバカ野郎!』って苦情が来たんだ……」

「…………」

「…………」


 今日のお話はこれでおしまいだよ。
 本当に文章表現っていうのは考えることがいっぱいあるんだ。

 たとえば、「AはBである」ってTwitterでもなんでもいいから、主張したとしようか。
 すると、必ず「いや、Cのこともあるぞ!」みたいな反論がくるんだ。

 もちろん、こっちもそれはわかってるんだよ。『例外のないルールはない』って昔、英語の例文でも習ったしね。けど、思い切って例外を切り捨てて主張したいときってあるんだよね。

 そこで、ついつい「AはBである。ただし、○○の場合にはCであることもある」とかにすると、どうしても表現が弱くなっちゃうんだ。
 私もこのことについては、ちょいと悩んでいたんだけど、もう思い切って書くことに決めたんだよ。例外については「察してくれ」ということで。

 みんなの文章表現への問題意識、よければ教えてくださいな。
 そうしたら、新しいコラムのネタに出来るし、ね!

(つづく)




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また、内容について気になるところがありましたら、「道玄斎」さん
直接聞いてみたりしてみるのも面白いかもですしね(*゚∀゚)=3
(制作者さんとの距離が近いのも同人の良いところw)


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