道玄斎さんのコラム 46:道玄斎のノベルゲーム漫遊記



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●第四十六回「どーする!? 盗作問題」

 前回は、バカっぽい話を書いてちょっと気分をリフレッシュしたから、今回はまたトラブル関係の話に戻そうかな。

 うーん……、「世に盗人の種は尽きまじ」じゃないけど、創作関係でも「世にトラブルの種は尽きまじ」って状態だからなぁ。ネタ選びには毎度苦労させられるよ。




■今回は盗作だ!

「ん? その『世に盗人の種〜』ってのはなんです?」

「あれ? 知らない? 百人一首ほどじゃないにせよ、有名な歌の一部なんだけど」


 やっぱり今日もS君はトラブルの話を聞きたいがために、ここにいるんだ。
 人間ってのはちょっとそういう薄暗いものにひかれる習性ってのがあるんだろうね。


「これは石川五右衛門の辞世の句なんだよ」

「石川五右衛門ってーと、ルパンですか?」

「ちゃうちゃう、その元ネタのほう! ルパンのほうは石川五ェ門で、ちょっと名前も違うんだよ」
「へぇ〜、実在の泥棒なんですね」


「今、Wikipediaで調べてみたけど、ちゃんと資料も残ってるみたいなんだ。『續本朝通鑑』ってのに記載があるんだ」


 というわけで、Wikipediaを調べてみたんだけど、その『續本朝通鑑』の一節が確かに載ってるよ。けど、漢文で書かれてるんだな、これが。


   頃年、有石川五右衛門者、或穿或強盗不止矣、秀吉令京尹前田玄以遍捜之、遂捕
   石川、且縛其母竝同類二十人許烹殺之三条河原


 Wikipediaは表記を間違えてたから、そこは私が直しておいたよ(こーゆーことがあるからWikipediaって怖いんだよねぇ)。
 簡単に訳してみようか?


   「ここ数年、石川五右衛門という人物が強盗を繰り返しており、それは止むことが
   なかった。秀吉は部下に捜索を命じ、ついに石川五右衛門を逮捕した。そして石川
   五右衛門の母や仲間20人ほどを縛り上げ、三条河原で釜茹でし処刑した」


 ま、こんなとこかな。

 その釜茹で処刑のときに、五右衛門が詠んだ歌が、「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ」なんだよね。

 泥棒はいなくなんねーんだぞ!? って主張みたいなもんかな。


「ふーん、泥棒ですか……。あっ、泥棒といえば、盗作の話とかどうです?」

「あっ、その手があったなぁ! だけどそれは相当デリケートな話題だぞ……」

「ま、そこは上手くボカしながら……」

「まぁ、ちょっとやってみるか」


 というわけで、今日のテーマは「盗作問題」についてなんだ。




■盗作認定は難しい

 盗作の問題はデリケートなんだ、っていったけど、これは本当だよ。
 明らかに「あっ、○○のパクリだっ!」ってわかるものもあるけど、その多くは微妙なラインだから、「盗作認定」は本当に難しいんだ。

 非常にわかりやすいタイプの盗作は、「イラスト」に関するものだね。
 よく聞くのが、「トレパク」というやつ。これは絵を「トレース」して「パクる」ってことなんだけど、なにしろトレースだから、元の絵と重ねるとピタッと一致しちゃうんだ。
 場合によっては、縮小・拡大、反転したりって手の込んだことをする人もいるんだけど、結局は見つかってしまうことが多いね。

 これは見つかると大変なんだよ。
 特に、女性向けゲームの世界では、最大級の悪行だとみなされていて、トレパクをやると、つるし上げられて、ひどい目にあうようなんだ(まぁ、トレパクするのが悪いんだけどもね)。
 女性向けゲームの場合は、「トレパク探しの達人!」なんて人もいて、虎視眈々とトレパク作品を探したりしてるみたいなんだけど……。


「怖いなぁ……。けど、そんな一般論じゃなくて、何か道玄斎さんの体験したものがあるんじゃないですか? そういうのを話しましょうよ」

「もちろん、それは後で話すよ。けどねぇ、トレパクは明らかな『盗作』っていうか『盗用』なんだけど、微妙なラインってのも本当に多いからさ、そこは話しておきたいのよ」

「微妙なラインってどんなのです?」

「大体、話の筋や設定にまつわるものが多いかな。たとえば、『行き倒れの女の子を拾ってくる』なんて、超ド定番の設定があるだろ? 既に何作も同じような設定で作品が作られているよね」

「そうですね。僕が知ってるだけでも……4作品くらいあるなぁ」

「そこで、たとえば、俺が同じ設定でお話しを書いたら……それは盗作かい?」

「ううーん……むずかしいこというなぁ!」

「だよね? そういう出だしで、結末部分や作品のキモみたいなところまで同じだったらそれは盗作だろうけど、その設定を使用すること自体は、盗作と認定しがたいとこもあるんだよね」

「なんとなくわかってきました……」




■こういうケースはどうよ?

 と、まぁ、こんなわけで、盗作の問題はとってもデリケートだし難しいんだ。
 そういう前提がある、ってことをわかってもらった上で、今日の本題に入ろうか。


「いよいよですね……どんな話なのかな……」

「まぁ、これも『こいつが悪いぞ!』ってな単純な話じゃなくて、『盗作とはなにか?』みたいなものを考えるきっかけとして聞いてよね」

「了解です!」


 実は、今回の話はノベルゲームと関係のない人も出てくるんだよ。
 その人は、ゲームは作ってないんだけれども、イラストを描いたり、ポエムを書いたりと、そういう形での創作をしていて、ブログでそれを発表していたんだ。

 ある日、その人は「ゲーム制作」をしている人のウェブサイトを見つけるんだ。
 その作者のゲームは、優しい雰囲気で内容も面白そうだった。なにより、自分と妙にフィーリングが合う気がしたんだ。だから、ダウンロードしてプレイしてみたってわけ。

 けど、プレイしてみてびっくり仰天。
 その作品には、自分がブログで発表した「ポエム」そっくりの文章が散りばめられていたんだよ!


 ただねぇ、その「ポエムそっくりの文章」っていっても、ちょいと問題があるんだ。
 というのは、そのポエム自体が「唯一無二の個性的な文章」ではないんだ。「まぁ、そういう表現をする人もなかにはいるよね」くらいのレベルだったんだな。

 ね?
 盗作問題って、本当に難しいでしょ?

 ともあれ、その人は、自分のポエムが盗作された、ということで、そのゲーム作者にメールを送って事情を説明するよう求めたんだ。


「あの、あなたの作った『○○』という作品なんですが、私がブログに書いている詩を使っていませんか? たとえば、私の詩の□□というものがあって、「〜〜」という表現が出てくるんですが、これは、貴作品のセリフとしてほぼそのまま使われています。そのほかにも……」


 なんて、調子でメールを書いて、自分のポエムと、その作品との類似箇所のリストも添付したんだよ。そのリストはかなり長いものになったんだ。
 だけれども、返って来たメールは……


「なにをいっているのかよくわかりません。僕は盗作なんてしてません!」


 というそっけないもの。
 頭にきちゃったその人は、再度メールを送ったんだ。「これだけの類似点があるのに、シラを切るなんて! ちゃんと説明してください!」ってね。
 当然、またメールは返ってくる。


「いいかげんにしてもらえます? 僕はあなたのこともしらないし、あなたのブログなんて見たこともないんですよ!?」


 うーん、こういわれてしまったら、もう何もいえない!
 途方に暮れてしまったんだけど、何気なく、自分のブログの「アクセス履歴」を見てびっくり!

 なんと、自分がメールを送るはるか前に、相手のゲーム作者が自分のブログにアクセスしていることがわかったんだ! それも何度も、ね。
 ん? なんでわかったのかって? それは、ポエムの作者とゲームの作者は同じブログサービスを使っていたからなんだ。

 たとえば、アメーバブログでブログを書いていたとしようか。
 すると、ほかのアメーバのアカウントを持っている人がブログに訪問すると、ちゃんとそれは記録に残って、
「○○さんが2016年4月19日、20:36分に訪問しました」ってのがわかるんだよ。

 さっそく、ポエム作者はもう一度メールを書いたんだ。


「お言葉ですが、あなたは私のブログを何度も見ていますよね? ちゃんと記録が残っているんです。もう一度、盗作の件についてちゃんと説明してもらえますか?」


 ってね。
 もちろん、そのゲーム作者がアクセスした記録はスクリーンショットで保存してあって、それを添付することも忘れなかったんだよ。


「うわー、壮絶になってきましたねぇ」

「でしょ? 最初の段階では、それが盗作かどうか、ってのはいま一つはっきりしなかったんだけど、少なくともゲーム作者が『ウソをついていた』ってのは明らかになったんだ」

「これは、状況証拠ですけど、クロですよ……」

「いや、真相はやはりわからないんだけどもね」

「それで、ゲーム作者から返信がきたんですよね? どうなるんだろう……」


 もちろん、ゲーム作者のほうも、「ウソの証拠」まで提示されて黙っているってことは出来なかったんだ。
 ちゃんと返信を書いて、ポエム作者に送ったんだよ。けど、その内容は……。


「ガラスのように砕け散ってしまいたい……」

「え? 意味がわかりません。あなたは私のブログを見ていない、と言っていましたが、ちゃんと見ていた記録が残ってますよ? そして、私の詩を作品に無断使用したんですよね? ちゃんと説明してください!」

「お前は俺に死ねっていうのかっ!!」


 と、まさかの豹変。
 結局、話し合いは出来ず、ポエム作者もそれ以上追求できなかったんだよね。




■それでも、認定は難しい!

 という話なんだよ。
 問題なのは、結局相手との話し合いは出来ず、相手は「盗作を認めていない」というところなんだ。

 結局、裁判でもそうなんだけど、盗作か否かは「誰かが認定」することによってでしかわからないんだよね。

 当然、その「認定」が間違っているってこともあるし、状況証拠的に怪しくても、本当にやったかどうか、はまた別問題なんだよね。
 もちろん、トレパクのように、明らかにわかる、ってケースもあるんだけど、盗作全体でみたら、そういうハッキリわかるケースのほうが少ないんじゃないかな。

 とにかく、トレパクをはじめ盗作はしない。
 そして、認めるべきところは認める。

 そういう態度でいたほうが、結局トラブルに巻き込まれないんだよ。

 今回のケースも、「ブログを見ていたのは本当だけど、盗作の意図はなかった。ただ、ポエムが印象に残っていて、その意図はないけれども、結果似た表現を使ってしまった」なんてことを説明すれば(そうであれば、の話だけど)、双方納得して解決する、なんて目もあったのかもしれないよね。

 さらに、盗作というのは「盗作された側」と「する側」の双方がいて、基本的にはその二者の問題なんだ。
 なので、第三者が不用意に「こいつ盗作してるぜー!」みたいなことを喧伝すると、もし、それが間違っていた場合、どうするんだい?

 慌てず騒がず、冷静でいること。
 結局、それがどんな立場の人にとっても、トラブルを防ぐ方法なんじゃないかなあ。





■次回への布石

「ちょっと今回のは重たい話でしたね」

「うん、結局のところ真実はわからないんだよね。だからこそ、盗作の認定は難しいし、安易に『盗作だ!』って騒ぐのもよくないんじゃないかなってことなんだけど」

「トラブルの話をすると疲れる、って理由わかった気がします」

「だよね……。じゃあ、次回はもっと軽い話してみようか?」


 というわけで、今回はこれでおしまいだよ。
 次回は、もうちょっと気楽な話が出来るといいな!!


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(つづく)




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    FooLというブランド名で主にRPGツクールでRPGを製作、公開しています。ゲームを製作する上で何か学んだわけでもなく、完成させた作品に満足をした事もありません。初心者の方向けの文章ですが、読み物の一つとして見て頂ければ幸いです。

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