道玄斎さんのコラム 20:道玄斎のノベルゲーム漫遊記



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●第二十回「キャラクター先行型のゲーム制作」

 さて、ノベルゲームの3要素の話もひととおり終わったね。
 「ゲームを作ろう!」なんて考える人は、その3つのスキルのどれかを持っていることが多いんだけど、母国語での読み書きは、誰でも出来るんだよ。だから「ライター」の地位が不当に軽んじられたりするんだよね……。

 けど、しっかりとした文章で、面白い物語を紡ぐって、ものすごく難しいんだぜ。
 それに、ライターは「文章を書く」だけが仕事じゃないんだ。「物語内容を考える」のも基本的にライターの仕事なんだよ。
 だから、ライターには「物語を創るスキル」と「それを上手に表現する(書き著す)スキル」の2つのスキルが必要になるってわけ。


 ちょっと、ライターの名誉を回復させたところで、話を先に進めよう。
 物語を創ったり、文章を書くのが好きな人、つまりライターがゲームを作るというのは、とってもわかりやすいケースだよね。

 けど、制作者のなかには、「イラストを描くのが好き」というのが、ゲーム制作の出発点になっているという人もかなりの数いるんだ。

 今日は、その「絵師」がゲームを作ろうとしたときのお話だよ。
 私が自分のブログで書いた記事をそのまま持ってきたよ。もちろん、読みやすく修正しているけどもね。




■キャラから? 物語から?

 どうやらゲームを作る時って、大きく分けて2つのパターンがあるみたいなんだ。
 1つは、「ストーリー先行型」。「こういう物語を作りたい!」って思って、あれこれ考え、キャラクターや設定を煮詰めて1本の作品に仕上げるってやりかただね。

 で、もう一方は、「キャラクター先行型」なんだ。
「このキャラクターが活躍出来る話を作りたい!」って事で、シナリオを練っていくタイプだよ。
 もちろん、この2つの考えが入り交じって、作品が作られていく、なんてことも実際には多いんだけど、話を単純化しよう。

 こりゃ、私の何となくのイメージなんだけど、女性がゲームを作るときって、わりと「キャラクター先行型」が多いような気がするな。特に、イラストを描ける人なんかには、そのパターンが多いみたいだね。

 女性のウェブサイトを見てみると、「お絵かき」と称して、自作のイラストが多数展示されている事が多いよね。そうやって、自分の「とっておき」のキャラクターが何人か集まってくると、「じゃあ、このキャラクター達を使って、物語を作ろう!」って考えるのは自然な事だよ。

 で、まぁ、その中の一定数の人が、キャラクターを産み出す時に、「ファンタジーらしいファンタジー」の設定を使うんだ。メインキャラとなる女の子がいて(剣士系か魔法使い系かにザックリ二分出来る)、騎士団とかに所属しているカッコいい男性キャラがいて、普段はぼんやりしているけど、実は凄い魔法使いとか、耳が長いエルフのキャラがいて……と、そんな風に、キャラを作っていくわけ。

 そうやって、キャラクターを増やし、設定を固めていくんだけど……そこで、問題が起こったんだ。




■キャラ先行の落とし穴

 ある日、私は、人のツテで、そうした「(ファンタジー)キャラクター先行型」で物語を作ろうとしてる人に、アドバイスをすることになったんだよ。

 けど、「アドバイスが欲しい」っていう人のほとんどが、実は、具体的なアドバイスを求めているわけじゃないんだ。
 そういう人たちは、「俺の話を聞いてくれ!」「俺の作った物語はどうだい?」という、そういうタイプであることが往々にしてあって、その時も、そんな感じだったね。

 まぁ、話を聞くくらいは出来るよね。
 それに、「話をする」っていうのは、意外と物語作りには役に立つんだよ。
 だって、全く知識のない人に、その作品がどういうテーマを持っていて、どういうキャラクターが出てきて、どういう事件が起こって……みたいなことを話すんだから、自分の頭の整理になるんだ。

 当然、会話は一方通行じゃなくて、こっちも混ぜっ返したりするから、それで、設定の不備に気付いたりって事もよくあるよ。

 ともあれ、私は話を聞く事にしたんだけど……。


「わたし、自分の作ったオリジナルキャラクター(オリキャラ)を使ったファンタジーを作りたいんです!」

「ほうほう」

「それで、RPGとかは難しそうだから、乙女ゲームみたいにノベルにして、まとめたいなぁって」

「意外と、ファンタジーのノベルゲームは数が少ないから、上手く作れば面白いものが出来るかもね」

「キャラには自信ありますよ! 何しろ5年もキャラクター作り続けてきたんですから!」

「えっ! 5年!? そりゃ、またずいぶん練り込んだねぇ……」

「やっぱ、キャラを色んな人に愛してもらいたいじゃないですか? だから作品のウリはキャラクターですね」

「まぁ、それも1つの考え方だけど、やっぱり、肝心のシナリオがしっかりしてないとね。シナリオの方は出来てるの?」

「バッチリです! 少しづつ設定を積み重ねたので、設定やシナリオには厚みがありますよお?」

「じゃあ、ちょっと設定とかシナリオとか、見せてもらえる?」


 と、そこで、その彼女から、設定やシナリオをまとめたページのURLが送られてきたんだけど、正直、そのURLを見て、いやな予感がしたんだよ。
 だって、「story001.htm」「chara0001.htm」なんて書いてあるんだぜ!

 何で、ストーリーに三桁の数字が必要なんだ? キャラクターにいたっては四桁じゃないか!
 とにもかくにも、まずは「story001.htm」の方に飛んでみたんだよ。

 開けてびっくり玉手箱、じゃないけど、めちゃくちゃ驚いたね。
 だって、いきなり「全8章」と書いてあったんだ! で、「第1章 追憶の指輪編」、「第2章 闇の伯爵編」、「第3章 暗黒教団の陰謀編」……なんて調子で、各章立てがしてあったんだよ。

 けど、肝心のストーリーは何故か妙に薄かったんだ。
 第1章のストーリーは、確かこんな感じだったなぁ……。


  生まれ故郷を追われたリカ(主人公ね)は、放浪の旅に出る。そしてその旅の途中、
  荒野にて、リカは魔物達から襲撃を受けてしまう。
  しかし、そこに現れたのはセリグリア王国の騎士団。魔物達を蹴散らした後、騎士団
  の団長はリカに問い掛ける。『俺たちと共に戦わないか』と。リカの旅は今まさに始
  まったのだ……」


 みたいなね。
 それは……ストーリーというよりは、その発端部分っていうか、序章というか、そういう感じだよねぇ。
 まぁ、それはいいとしても、何で、都合良く騎士団がやってきたのか、とか、何でいきなり団長がリカに入団を勧めたのか、とか、色んな疑問があるんだよね。
 そもそも、何で生まれ故郷を追われてしまったのか、ってとこも、サブタイトルの「指輪」についても不明だし。


「えっと……色々聞きたい事があるんだけど……。いきなり騎士団に誘われるって唐突過ぎない?」

「それはですね、ネタバレになるんですけど、リカと団長には実は血縁関係があるんです。団長はリカを見て、すぐに自分の姪だって分かったんです。だから彼女を誘ったんですよ」


 えっ? ネタバレ!?
 なんか雲行きがあやしくなってきたなぁ……。


「……そこらへんはキャラクターのページを見れば書いてあるのかな?」

「はい! バッチリです!」


 というわけで、今度は「chara0001.htm」を見てみたんだ。
 確かに、キャラページには色々書いてあったんだよ。キャラクターのイラストは言うに及ばず、身長、体重、血液型、守護星、属性(?)、好きな食べ物、嫌いな食べ物、気になる異性……などなど。

 けど、「団長と血縁関係にある」なんて書いてないぞ……。
 と思ったら、説明文の中に、妙な空白がある事に気がついたんだ。
 そう、そのネタバレは、「反転で表示」になってたんだよ。画面を反転させてみると、確かに、団長と血縁関係があること、実はリカは女神の生まれ変わりで、世界の命運を担う者である、なんて情報が載ってたんだ。

 けど、そんな事は大した問題じゃなかったんだよ。
 「関連キャラクター」なんて項目がページの下のほうにあって、そこには人名のリストが載っていたんだけど、それが数人なんてレベルじゃないんだよね。20人くらいはいたかな……。当然、その人名はリンクになっていて、そこをクリックすれば、そいつのキャラクターページに飛ぶって寸法。
 で、当然、そのキャラクターのページにも「関連キャラクター」が数十人単位で書いてあり……。まぁ、その全てにイラストがついてたわけじゃなかったんだけどもね。


「あのさ……またしても聞きたい事があるんだけど……キャラクターって全部で何人くらいいるの?」

「全部で1500人ですね。主要キャラは100人くらいです!」


 1500人だって!?
 それじゃ、ゲームにならないだろ! ここに来て、やっと「chara0001.htm」の謎が解けたってわけだよ。マジでキャラクター数が四桁だったんだ……。
 ん……? となると、シナリオの方は……。


「え、じゃあさ、シナリオは全8章って事だと思うんだけど……その8章の中に1500人が詰め込まれてるの?」

「えっと、各章には色んなエピソードがあって、細かく分けていくと、300個くらいのエピソードがあるんですよー。だから全員入れられます!」

「もしかして、300個のエピソード、全部一人で考えたの?」

「実際、考えてあるのは5つくらいかな……」

「あっ、じゃあ、残りの295個のエピソードは、未定……?」

「そうですねー。けど、色んなキャラを見てもらいたいですから、頑張ってエピソード作りますよー!」




■その後の顛末

 もう分かるよね?
 私がアドバイスする余地なんてどこにもなかったんだ。
 もちろん、「メインキャラは5?6人がいいとこで、敵キャラも同じくらい。合計で10?12人くらいのキャラクター数のほうが作りやすい」なんて、常識的なアドバイスも出来る事は出来たんだけど、やめておいたんだ。

 結局、当たりさわりのない、「ゲームを作るためには、こういうツールがあって、BGMなんかは借りたりして?」みたいな、本当にゲーム制作の概略を話してお開きになったのさ。

 キャラクターにこだわるのはいいけど、やりすぎると、こういう事になっちゃうんだなぁ!

 結局、彼女は「ゲームを作るより、キャラを増やす方が楽しいや」って事になって、今でもきっと、順調に1500人に向かってキャラを増やしてるはずだよ。
 まぁ、楽しみの形は人それぞれだし、ゲームにするってのが絶対解ではないしね。




■再度のオチ

 と、まぁ、私が自分のブログでは、ここまでしか書かなかったんだけど、その後、続報が入ったんだ。

 というのも、彼女はそれからもキャラクターを量産しつづけ、そのキャラクターにイラストをつけるということをやっていたんだけど、あるとき、はたと気がついたんだ。


「絵が古くなってきている!」


 ってね。
 それで、今まで描いてきた絵を「自身の最新の絵」にすべく描き直しを開始したんだよ。
 でも、またある程度絵がたまってくると、やはり、「絵が古い!」っていって描き直しているんだ……。

 結局、今でも彼女は、絵を描いては描き直しを繰り返しているんだよ。
 なんだか、賽の河原のようだなぁ……。

 そういえば、描き直した絵と、以前の絵は、そんなに違いはないんだよね。
 いや、モノによると劣化したりしてるケースすらあるんだ。


 みんなも「キャラを作りたいのか」「ゲームを作りたいのか」を、まずはハッキリさせたほうがいいよ。そこがキャラクター先行型のゲーム制作の注意点かな。
 そうでないと、こうやって一歩も進めなくなっちゃうんだ。

(つづく)

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