道玄斎さんのコラム 43:道玄斎のノベルゲーム漫遊記



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●第四十三回「リアリティのある作品とは?」

 久しぶりのコラムなんだけど、たまたま「あなたはよくリアリティって言葉を使うけどそれってどういうこと?」と聞かれたので、それをネタにしてみようかな。

 まぁ、「リアリティ」っていっても色んな要素を含んでいるから、簡単には説明できないし、人によって考えかたは色々あるんだ。




■ジャガイモ論争?

 リアリティ、といえば、ちょっと前のことなんだけど、「ファンタジー作品にジャガイモが出てくるのはおかしい」というような、ツイートをツイッターで見かけたんだ。

 たしか、「そこまで厳密に考えると窮屈じゃない?」というような話の流れのなかで、だったと思うけどもね。

 要するに、ファンタジーって「中世風」な世界観をベースにしているわけでしょ?
 だけれども、実際のジャガイモは、新大陸から伝わって来たものだから、実は歴史が浅いんだよ。

 ドイツなんて、昔っからジャガイモとソーセージを食べてるイメージがあるけど、それも比較的最近のことなんだ。
 だから、ファンタジー作品でジャガイモが出てくるのはおかしい、って主張があるんだよ。


「道玄斎さんのドイツのイメージって貧困ですねぇ」


 と、現れたのはY君。
 彼は、短いけれども1本作品を作ったことがあるから、「制作者」って部類に入れてもいいのかな? ともかく、彼はけっこううるさ型で、あれこれ突っ込みをいれてくるタイプなんだ。コラムのネタ作りには役に立つんだけども、ね!


「まぁ、そうだね……。ドイツはなにしろ行ったことないし、ドイツ語も難しいらしいから、俺にとっては未知の国だね」

「なんかドイツ語が難しいっていうのは聞いたことあるなぁ」

「フランス語とかのラテン語系の言葉って、言葉に『性別』があるんだよね。だから男性名詞とか女性名詞とかがあるんだ。そういう性別があるもんだから、冠詞もそれ専用の性別があったりするんだよ」

「フランス語は出来るんでしたっけ?」

「ちょっぴりね。けど、もう長いこと使ってないから、全然わからんっていってもいいよ」

「で、問題はドイツ語ですよ!」

「そうそう。ドイツ語はさ、男性名詞、女性名詞にくわえて『中性名詞』っていうのもあるんだよ!」

「中性名詞? オカマかなんかですか?」


 オカマじゃないと思うなぁ……。
 けど、ただでさえややこしい、言葉の「性」に対して、「中性」なんてのが出てきちゃうともう、難しすぎるっていってもいいよね。
 だから、私のドイツへのイメージが貧困なのもしょうがないんだ。


「いいわけじみてるなぁ」

「しょうがないよ。で、話を戻して。ファンタジー作品にジャガイモが出てくるのって君はどう思う?」

「『そこにこだわってどうすんだ!?』とも思いますけど……リアル志向の人だったら、やっぱりジャガイモは出したくないって思うんじゃないかな?」

「ほう……じゃあ、君はトールキン先生の『指輪物語』がリアル志向じゃない、と?」

「え……?」

「『指輪物語』を読むと、主人公フロドの従者サムのオヤジはジャガイモ作りの名人だって書いてあるし、サム自身も『じゃががあればなぁ』みたいなことをいってるんだ」

「えー! そんなこと知りませんよ!」


 実は、ファンタジーの古典的傑作、『指輪物語』(『ロードオブザリング』だったらわかる人も多いんじゃない?)には、なんとジャガイモが出てくるんだな。

 「ファンタジーにジャガイモが出てくるのはおかしい!」って主張する人たちは、『指輪物語』に対しても「おかしい!」って主張しているのかしら……。
 寡聞にして私は、それを見たことがないんだよねぇ……。


「じゃあ、道玄斎さんはジャガイモとファンタジーをどう考えるんです?」

「俺は、『ジャガイモを出してもかまわない』って思うな」




■ノベルゲームのリアリティ

 ここが今回のテーマ、リアリティに関わってくる部分かな。
 つまり、ジャガイモそれ自体は別にあってもいいんだ。けれども、「その物語に存在する必要性」ってのがあると、リアリティがグッと増すよね。

 おっと、誤解されそうだから、慌てて付けくわえておくけど、それは「80年前、ある国の遠征隊が謎の大陸を発見した際、原住民から教えられた貧困地でも育つ栄養価のある食物だ」みたいな説明を必要としている、ってわけじゃないんだ。

 うんと単純にいえば、


  食事の時間になった。メニューはジャガイモ、チーズ、パンといったところ。


 みたいな描写じゃなくて、


  食事の時間になった。メニューはジャガイモを一度ふかして、つぶしたものに暖かい
  ミルクを混ぜて練ってあるもの、そしてヤギのチーズに、人間の頭くらいの大きさの
  黒パン。


 こんな「イメージの湧く描写」があればいいな、ってことなんだよね。
 上のメニューはいわゆる「マッシュポテト」なんだけど、ただ、なんとなくジャガイモを出しました、っていうより「メニューの説明」として成り立ってるでしょ?
 それも「物語のなかの必要性」の1つだと思えるんだよ。そういう描写があれば、少なくとも食事シーンのリアリティは出てくるよね。

 つまり、ゲーム(に限らないけど)のリアリティって、「必ずしも現実や、史実に準拠しなくてもいい」ってことなんだ。
 ある物語のあるシーンで、「らしい雰囲気」が出ていれば、それはリアリティがある、
 っていってもいいんじゃないかな? もっといってしまえば、あるアイテムを出すか出さないかという問題よりも、キチンと「描写の役に立ってるかどうか」がリアリティの正体の1つなんじゃないかなって思うんだよ。




■2つのリアリティ

 でも、どうも、ノベルゲームでは、現実世界のそれをちゃんと踏まえているかどうかという視点と、「らしいかどうか」という2つの「リアリティ」があるみたいなんだ。

 だって、そう考えなきゃ「SFのリアリティ」や「ファンタジーのリアリティ」なんて考えかたそのものがおかしなことになっちゃうよ。


「ん? どういうことです?」

「SFって、現実の科学を踏まえたりすることはもちろんあって、それと『オリジナル設定』との組み合わせの妙が面白かったりするじゃない?」

「僕はSFとかあんま読まないんですけど、まぁ、そうなんでしょうね」

「で、ファンタジーの場合だって、あくまであれは『中世風』なんだよ。史実とは全く関係ない部分も多いよ。だって、誰も指先から炎を出したり出来ないんだからね」

「そもそも、SFやファンタジーは『現実』とは違うってことですか?」

「そうそう。もともと現実世界のって意味ではリアリティがないジャンルなんだから、そこであんまりキツキツに現実世界の設定を当てはめてもしょうがないってことなんだよ。もちろん、例外はあるし、やりすぎには注意が必要だけど」


 こうした、現実世界と、「らしさ」の2つのうまい融合が、「その物語のなかで活きるリアリティなんだ」ってことはいえそうだね。

 中世風であったり、未来的であったりってことはあるけれども、「現実との接点」はやはりあるんだよ。
 だから、理想をいえば、調べられる部分はしっかり調べる。その上で「らしさ」をうまく表現してやれば、もう十分じゃないかな。




■リアリティと描写の問題

 いづれにせよ、こうしたリアリティを表現するためには「描写」が必要になるわけで、そこには、まだまだ問題があるんだ。

 1つの問題は、リアリティを追求しようとするあまり、過剰な描写になってしまう、というもの。
 このさじ加減は難しいよねぇ。説明不足だと伝わりにくいし、かといってしつこいくらいに描写すると、今度はくどくて読みにくくなってしまう。

 例えば、ある特殊な作業について説明する、としようか。
 その作業には工程が「5つ」あるとする。

 その場合、その作業を丁寧に、5つ語るとするとそれは冗長になってしまうことがあるんだ。やっかいなのは、執筆者は「ちゃんと全部説明したほうがわかりやすいし、リアリティが出る」ってつい考えちゃうところにもあるね。

 こういう時は、作業の「おいしいとこ」をピックアップしてやったりすると、すっきりすることが多いよ。
 手早く、けど「おいしいとこ」を上手く説明してやれば十分なこともあるし、場合によっては「あえて実際とは違うこと」を書いて、わかりやすく説明しちゃう、って手もあるんだよ。

 実際とは違うこと、っていうのは、必要な手順を省略したり、簡略化したりってことだよ。あるいは手順をまとめてやってもいい。その意味では「おいしいとこのピックアップ」と同じなんだけど、「それっぽく見える」なら、多少の創作もありなんじゃないかな?
 当然だけど、「本当のこと」と上手く混ぜると、「それっぽさ」もグッとアップするよ。


「うーん、リアリティを出すための描写も奥が深いなぁ」

「そうだね。これは『丁寧に文章を書こう』みたいな話よりも、グッと踏み込んでるからねぇ」

「ほかに描写にまつわる問題ってあります?」

「リアリティとはちょいと違うけど、これも一昔前、『何かを説明するために何かを引き合いに出す』って描写表現が流行ったことがあるんだよ」

「あー、それラノベの影響じゃないですかね」

「そうかもな。あれはかなり面白い表現がある一方で、ありとあらゆる事柄をそれで描写、説明しようとすると、かなりくどいよ」

「バランス、ですかねぇ」

「ああいうのは、いわば飛び道具みたいなもんだから、連発するもんじゃないよな。ここぞってときに使うとすごい面白いんだけど。なんにせよ、表現や描写には、工夫が必要ってことだね」

「じゃあ、お手本みせてくださいよ。お題はそうだな……道玄斎さんが好きそうな、『美少女』でどうです?」

「それ、俺の好みの美少女でいいの?」

「いいですよ。スッキリとしていながらリアリティを感じさせる描写を今語ってみてください」

「よし……。まぁ、そうだな、まずスカート丈なんだが、膝がかすかに見えるくらいだよな。あっ、もちろん制服ね。制服はブレザーでもセーラー服でもいいんだけど、ここではセーラー服ってしておくか。で、出来たら黒タイツをはいているとベスト。靴はやはりローファーなんだけど、あまりにもペタンとしているとカッコ悪いから、若干ヒールがあって、もさっと見えない感じで。そこには校則を守るって意志はあれども、ダサすぎるのはいやだって乙女心があるわけよ。髪の毛は……」

「もういいです…………」



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(つづく)




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